瀧丸の手記

晴れときどきふわふわ

『ASTRAY』からみる『SEED』の初期構想

拙者の名は一番好きなガンダム作品はASTRAY丸・・・

そして拙者の名はASTRAY Rをブックオフに売ったことを後悔してる丸・・・

 

ガンダムSEEDのメディアミックス展開として始まったASTRAYですが

タダの外伝作品として枠に収まらず

つい先日ガンダムAで新作ASTRAYの連載が始まったり

00、ビルダーズ、AGE、ビルドファイターズ・・・

と新作ガンダムの放映と連動して外伝作品が雑誌媒体などで展開されるようになった先駆者であり

10年以上が経った今でもレッドフレームガンプラやフィギュアが出たり

非映像作品ではありますが、SEEDの影の功労者だと思ってます

 

ガンダム作品の魅力の一つは本編では明かされない余白にあると思っていて

MSVなど放映後にその余白を埋める外伝作品こそは数が多いものの

新作ガンダムの放映と平行してそういった外伝作品を展開したのはASTRAYが一番最初であり

本編に合わせてアストレイ三人娘の一人ジュリが出たり、バルトフェルドやキラの生存を補足、ゴールドフレーム天の為にわざわざブリッツが本編で右腕を斬られたり・・・

と本編とのリンクが非常に積極的に行われ

雑誌媒体やガンプラなどで陰ながらも本編を盛り上げようとする姿勢は大いに評価されるべきだと思ってます

 

単行本ムック本で全貌を把握するのが困難になって来たほどに何作も出たASTRAYですが

一番最初の『ガンダムSEEDASTRAY』だけは何度読んでも独特の違和感を覚えます

確かに、長期連載漫画特有の描き慣れてない故の絵の違和感とか、DESTINY ASTRAY以降との路線の違いだとかそういうのもあるのですが、それ以外にも明確に違和感を覚える箇所があるんです

 

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リマスター版ASTRAY2巻に収録されている、「旅立ちのコロニー」という話にその違和感の一つが紛れています

この話にはエヴィデンス01こと、はねクジラがクローズアップされてます

「そういえばそんなのもあったな・・・」なんて思いながら読んだのですが

SEED DESTINY以降はマトモに触れられてない気がしてならないはねクジラがここまでクローズアップされていると、「SEED本編の初期構想の名残なのでは・・?」と思ってしまうわけです

前述したとおり本編とのリンクが積極的に行われているため、これが本編と全くの無関係とは少し考えづらい訳です

はねクジラはファーストコーディネイターこと、ジョージ・グレンが発見した地球外生命体の化石で、恐らく本編に関わる要素であった筈なんですが

監督が「ただのオブジェ」という事にした為にSEEDの死に設定その1となってしまったワケです

化石ではあるけど、一応ガンダムシリーズ初の地球外生命体なんですけどね・・・

後に劇場版00でELSが登場して、そっちがシリーズ初の地球外生命体の名誉を冠してしまいましたが・・・

 

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そしてもう一つの違和感はリマスター版ASTRAY3巻の「リ・ホーム発進!!」にあります

これははねクジラの時とは異なり、大きく取り上げられてる訳ではないのですが、気になる点ではあるので書いておきます

この話ではロウたちが手に入れたG.G.ユニットの正体はこの時代の何年も前に暗殺されたジョージ・グレンの脳であり、リ・ホームの制御コンピューターとリンクして、キャプテンG.G.として擬似的に復活を果たす・・・

という話であり、今思うと後のカーボンヒューマンとも見えるC.Eの世界観ぶち壊し設定が出てくる訳です

ちなみに、G.G.ユニットを手に入れる経緯はASTRAY Rで描かれています

 

ナチュラルとコーディネイターが仲良くなる方法を考え悩むロウに、キャプテンG.G.がロウを「真の調整者(コーディネイター)」と評します

C.E世界でのコーディネイターは一般的に遺伝子操作を受けた人類を示す用語ではありますが、ここでは本来の意味としてロウをコーディネイターと示します

死に設定・・・とまではいかないにしろ、本来の意味のコーディネイターが使われる場面はここくらいです(SEED本編ではあるかもしれませんが、DESTINYだと全然無かったと記憶しています)

この場面ではいずれ現れる新人類と現人類との架け橋になるために、遺伝子操作を受けた人類をコーディネイターとして命名した事をキャプテG.G.の口から語られます

いずれ現れる新人類・・・ガンダムシリーズで言えばニュータイプが一番イメージに近いですが、C.Eの世界の新人類で当たるであろうSEED因子保持者という設定が存在します

SEED、DESTINY本編では深くは語られず、ナチュラルとコーディネイター問わずに現れる「優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子」とされています

まさにガンダム"SEED"が指し示すソレであり、これも重要な要素である・・・はずなのですが

本編では戦闘での描写が多く、パイロットの能力を高める特殊な力程度でした

新人類であろうSEED因子の力が戦闘しか活かされないというのは、皮肉にも宇宙世紀世界で戦争の道具、エースパイロットの類義語程度になっているニュータイプのような扱いに見えます

実はこれも死に設定の一つで、監督がSEED因子の力を「火事場の馬鹿力」のような物とした為、新人類への進化の可能性でもなんでもないホントにタダのパイロットの能力を高める特殊な力になってしまったワケです

 

SEED当時だとSEED因子保持者が第三勢力の三隻同盟に集中している、真のコーディネイターと評されたロウも三隻同盟の協力者に位置する・・・

という事を考えると、ナチュラルとコーディネイターとの戦争をSEED因子保持者が終わらせ、両者を導く存在になり、地球外生命体のエヴィデンス01とのファーストコンタクトを迎える・・・

という新人類とコーディネイターの本来の立ち位置が逆転していますが、そんなプロットだったのかもしれません

遺伝子操作された人類・・・自然発生した人類の進化・・・地球外生命体・・・どこかで聞いたような・・・

そう、SEED DESTINYの次に作られたTVシリーズガンダム00に僅かながらも似ている部分があります

以上の事を踏まえると、SEEDの初期構想を体現したのがガンダム00、そして劇場版00であったのでは・・・?と考えています

監督がガンダムシリーズで地球外生命体の存在を描くことに否定的であるのと、はねクジラの存在は矛盾してはいますが、SEED製作途中に路線変更を決意したのかもしれません

あくまでも推測の域なので、ホントにそうであったのかは関係者に直接聞いてみないと分からないですが

 

そして路線変更をしたSEEDの続編、DESTINYでは遺伝子による運命を強いるデスティニープランを描き、OVA作品のSTARGAZERではナチュラルとコーディネイターの軋轢を描いていく事になったのを考えると、SEEDのテーマの一つである遺伝子操作やナチュラルとコーディネイターの関係性に重点を置く路線へとシフトした事が推測できます

こういった路線も非常に好きなんですが、やっぱり死に設定となったエヴィデンス01とSEED因子の事が気になってしまいますね・・・

 

劇場版機動戦士ガンダムSEEDが公開された暁にはそれらの設定が掘り起こされると信じて!